相手の手の内がわからずに対処するのは、レーダーなしに闇夜の荒海にこぎ出すようなものです。
佐藤直曉
職場や家庭、あるいはサークルで、尽きないのが対人関係。
コミュニケーションをよくしたいと考える人は大勢います。
そこで、コミュニケーションやコーチングのセミナーに出席する人も多いと思います。
セミナーではとてもよい理論を教えてくれます。いちばんよく言われるのは、「まず、相手の言うことをよく聞きなさい」ということでしょうか。
たしかに、人は自分の話を聞いてくれる人に対しては好意をもちます。
でも、人を説得したり動かすときには、聞いているだけではすみません。
もちろん、セミナーではそのための理論も教えてくれます。
「情熱で話せ」とか「資料をしっかり用意してから話せ」などはよく聞かれるフレーズです。
しかし、実はそれだけでは不十分なのです。相手の好みに応じた説得方法を採用しなければいけません。
相手が「信頼関係をとても重視する人」なのに理屈で攻めたら、相手は「理屈なんか聞きたくない」と言って席を立つかもしれませんよ。そこまでしなくても、よい印象は与えられませんね。
こんなタイプには、いくら論理的に話をしてもあまり効果はありません。たとえば人間関係作りからはじめないといけません。
相手に応じて話をもっていかなければならないのは、当たり前のことです。誰でもわかっていることでしょう。でも、この部分は全くといってよいほど手がついていません。
ほとんどの教育機関は、これについてはお手上げです。せいぜい「注意深く観察しろ」と言うくらいでしょう。でも、何を、どう観察すればよいのでしょうか。
それを私はあなたにお教えしたいのです。
大事なのは相手がどういうタイプかを見抜き、その相手にふさわしい言葉で語りかけることです。あなたが、そのタイプをあらかじめいくつか知っていれば鬼に金棒ですよ。
そのタイプについてきちんと説明しているのが『行動分析の手引』なのです。
これを読めば、対策はいくらでも思いつきます。もし、思いつかなければ私にご相談下さい。そういうアフターサービスをL研クラブという会員クラブで行っています。
人間のタイプを見抜くのはたいへん難しいことといえます。特に初対面のときはまったく情報がありませんから、特に難しいでしょう。
それに、多くの人は自分のわまりの人くらいしかよく知りません。それらの人は、自分とわりとよく似た人です。これでは情報不足になります。
そうはいっても、すべての人間のパターンを自分の人生経験だけで学ぼうとするのはまず不可能でしょう。そこで、役に立つのが『行動分析の手引』です。
人間には大まかに言って5種類の行動基準があります。
これが人間の基本的行動基準です。その違いでどういう行動が起きるのか、以下は実例です。
新しい営業所長が異動してきました。いままでの所長は、訪問計画書をさっさと書いて、すぐに外回りをすればよかった。
その上司は、計画書や報告書は薄ければ薄いほどよいと言っておりました。それに、事務所に営業マンがいると怒り出しました。
ところが、新任所長は、きっちりした計画書をつくらせ、しかもそれぞれについて微に入り細に入り質問するのです。
その質問がまたねちっこい。そんなことを聞いて所長はそれを何に使うのか。みんな不思議に思うのですが、それがわからないと不安らしいのです。
おかげで営業マンは外回りをする時間がとれないとぼやきだしました。
ある上司は、自分ではあまり行動しませんが、「夢」や「理想」を声高らかに唱えて、部下をたきつける。
オバマさんのような人です。それが実にうまいんです。乗せられるんですよ。実は、新興宗教の教祖に時々そういう人がいます。
同じ情熱派の上司でも「気合いだあ!」のタイプもおります。
こういう人は、情熱過多なのかどうか、薄っぺらな報告書には見向きもしません。分厚い報告書でなければ信頼しませんでした。
文言も情熱あふれるものがないとダメが出ます。だから、計画数字もつい誇大気味になる。
また、ある上司は、派手な文言を嫌って、地味な報告書を好みました。このタイプは欠陥とかリスクがすぐ眼につきます。野村監督もこんな感じかしら?
それから、ある上司は計画書ができると、それを忠実に守ろうとしました。情勢の変化などあまり関係ない。ひたすら予定を守ろうとしました。これは彼が自分自身の上司に忠実なのです。批判精神まるでなし。
そもそも計画したら、実行には全然興味がないという人もいます。それで、もうできたつもりになっている。こういう人に限って、理論どおりに現実がいかないと首を捻る。
計画通りにいかないほうが普通なんですがね。
誰かほかの人がやっているからとか、よその会社がやっているから、自分たちもそれを真似して計画しようという上司もいます。
きっと自分では責任はとりたくないのですね。
計画を聞いて、内心では不満をもっていても、部下が強く言うと反対できない上司もいます。性格が優しいからとも言えます。でも内心では非常に感情的になって怒っています。
顔はニコニコしていますが、内心は煮えくりかえっていますね。顔に出ない分、あとがおおコワ。酒に酔ったら、からまれて殴られてもしりませんよ。
とにかく、いろいろな人がいますから、相手の性格や癖を見誤りますと、ひどい目に遭います。
人間行動のパターンは千差万別ですが、実は10種類のパターンに分類できます。
しかも、その人の行動を観察すれば体型までもだいたい想像がつきます。
つまり肉体的特徴と性格が不可分となって理解されるのです。
これを体系的に示してくれているのが『体癖論』です。人間にはそれぞれ体を使う「癖」があって、その癖によって性格まで似てくるし、体の格好まで似てくるのです。

(上表の5種類が各々さらに2分され、合計10種類となる)
体癖論は社団法人整体協会を設立した野口晴哉という人が創りあげた理論です。余談ですが、整体という言葉は野口晴哉が60年ほど前に創りました。野口は超名人と呼ばれた人でした。
この野口晴哉が、整体の現場で人間の体を観察しながら創りあげたのが体癖論です。
体癖論は人間の心理傾向だけを述べたものではありません。心理傾向、体型、運動特性、仕草、罹りやすい病気などが全部一体になって説明されています。
ですから、初対面の人にも使えます。相手の格好やちょっとした仕草から、どんな性格かが見抜けます。
もちろん初心者がいきなりそこまで判別できるわけではありません。やはり、人を見る「眼」を育てないといけません。それをお手伝いするのが、『行動分析の手引』です。
カスタマイズとは個別に人を見ていくということです。少し例を申し上げましょう。
困ったリーダーをタイプ別に分類して、それぞれについて対応を考える――ビジネス雑誌などにはよくそういう記事があります。たとえば、こんな感じです。
上の例は、経済誌などでよく見る上司分類と対応法でしょう。
ただ、私はこのような対策はとりません。もちろん結果的に同じような対応になることはあります。
では、私の主張する人間行動学では、これらの問題をどう扱うのでしょうか。
私がお勧めするのは、まず上司に好かれることです。上司に好かれれば何事もスムーズに運びやすくなるのは当然です。ただし、あなたが上司を好きになる必要はありません。上司に好かれればいいだけです。
以下、上のタイプ別に簡単に示していきます。
この上司がどういう行動特性/感受性をもっているかを把握します。
たとえば、非常に合理的に考えるタイプか。それとも情に厚いタイプか。情に厚くて、しかも合理的な考え方をする人もたまにはおりますが、あまりいませんね。
情に厚いタイプは、目下を徹底的に馬鹿にします。ただ、懐に入ってくる者は大事にする。まあ、子分にするということです。
だから、そういう上司にはこっちが子分になったと思わせればいいのです。子分になるとは、要するにお世辞を言うことです。
それがイヤな人は、徹底的にこちらの努力を上司に見せつける。朝誰よりも早く出社し、誰よりも遅く帰る。このタイプの上司は、努力を評価します。ほかにも対策はいろいろ考えられますが、例ですからこれくらいにとどめておきましょう。
一方、合理的でワンマンな上司は、努力をまったく評価しません。相手にするの結果のみ。その代わり、結果さえ出せばこっちを認める。そして、利害得失で話をしないといけない。人情はまったく関係ありません。
どちらのタイプかで、対策は全然違ってきます。
上の説明の通り「上司を信頼している風を装い自信をつけさせ、安心して部下の言うことに耳を貸すようにもっていく」ことですが、ではどうやって認めるかが問題になります。
上司の得意にしている(上司が内心得意に思っている)ことを察知してほめ、上司を認める作業が必要です。
そのほめ方にはちょっとテクニックが必要です。このタイプはおおむね自信を失っていますから、潜在意識教育が必要なのです。これに関しては拙著『リーダーの暗示学』をお読みください。
このタイプも、人間行動学的にはいろいろなタイプが存在します。
まず、左右型。このタイプはとにかく責任をとりたがらない人種です。好き嫌いの多い感情的な人たちなのです。
このタイプにはそれなりの対策があります。たとえば、「よその会社もやってますよ」とか、どこかに逃げ道を用意しておいてあげることです。さもないと反発されてしまいます。
それから、とても頭がよく、与えられた課題を極めて効率的に解決できるのに、意志決定はしたがらない人もおります。これは2種というタイプです。
代替案をつくるのは得意なのですが、自分で課題はつくれない。役人とか企画スタッフに多い。このタイプは八方美人で、いつもまわりに気をつかっています。
どちらのタイプかで対応が違ってくるのは当然ですね。
以上をお読みいただけば、現象的に上司を分類することにとどまらず、もう少し奥行きの深い上司対策を考えられるのではないかと思います。
私の提唱している方法のイメージが少しはおわかりいただけたでしょうか。
ワンマンな上司にも人間行動学の観点からすれば、いろいろなタイプが混じっています。責任をとりたがらない人にもいろいろなタイプがいます。現象にとらわれずに、相手の本性からアプローチしようと考えます。
それぞれに、最適な対策をとれるのが、カスタマイズの威力なのです。
私は20代から30代のはじめにかけて、経営コンサルタント会社で企業戦略の立案に従事していました。
分析技術にはそれなりに自信があり、提案はよいものだと思っていました。ところが、その提案がなかなか受け入れられないのです。
対人関係がまずいのか、人とスムーズに意見を共有できないのだろうか、などとずいぶん悩みました。
その結果、技術だけではだめで、人間を心理的に動かさないといけないのだろうなと思うようになりました。
そして、もっと人とうまく和すことを考えるべきかなと思いました。でも、私は酒は飲めないし座もちも悪かった。
困ったなあと思っていたとき出会ったのが体癖論です。
それ以来、体癖論をベースにして、人間がどう動くかを観察する訓練を繰り返してきました。それが人間を観る眼を養うことの重要性を唱えるようになったきっかけなのです。
私にとっては体癖論との出会いは実に大きかった。酒席や接待の席を設けるようなことをしなくても、一緒に仕事をしていけば自然と人と仲良くなれたし、仕事もスムーズに運ぶようになったからです。
この人の精神状態はいまこうだから、ここでこういう提案をしてあげればとても役立つに違いない、というようなことがさっと分かるようになったのです。
営業にも役立ちました。ある会社に企画書をもっていったところ、担当者がなんとなく不安そうな顔をしていました。
彼がどういうことに不安をもつタイプか私にはわかりましたので、彼を安心させるために、彼が好みそうな参考資料をつけたり、彼に好まれる体裁に企画書を提出しました。
予想どおり彼は安心したようで、私は受注を得ることができ、仕事は順調に進みました。
このように、相手の考えていることがある程度推測がつけば、仕事を進める上でとても有利です。
そのヒントになるのが『行動分析の手引』です。
「近頃の若者は……」というのは、いつの時代でも聞かれるフレーズです。
上司にとってわかりにくい部下というのは、自分とはまったく違う価値観で生きている人間です。
つまり、それまでそういうタイプに会ったことがなかったので、とまどっていることが多いのです。
しかし、相手の価値観や行動パターンがわかれば、この問題はかなりの確度で解決できます。
逆に、上司のことが理解できず不満を抱いている部下もいるでしょう。先ほどあげた、いろいろな上司がその例です。
自分が好きな上司というのは、自分がよく知っているタイプの場合が多く、そういう上司とは比較的折り合いがつけやすいものです。
しかし、自分とはまったく行動パターンが違う上司に遭遇すると、わけがわからなくなりがちです。
『行動分析の手引』をお読みいただければ、「ははーん、この上司はこういう価値観で行動しているのだ」とわかります。
相手の手の内がわかれば、対処法は比較的簡単に思い浮かぶでしょう。
私は元来内向的な性格で、人と積極的に交わるのは得意ではありません。すぐ人見知りするのです。
学生時代、ゼミなどで意見を言うのをいつもためらって黙っていました。
人としゃべるときにも話題がみつからず、黙って聞いていることの方が多かったように思います。おとなしい人だと見られていました。
しかし、社会に出ると、こういう態度はハンデになりました。
コンサルティング会社に入るような人は、だいたいが外向的で、自分の考えはこうだ、と積極的に示すのが上手な人が多いのです。
それに比べて、自分は何か言わなければと思うのに、全然思いつかないのです。特に新人歓迎会のようなところで、全然だめ。
これでは、上司だけでなく先輩にすらアピールできませんでした。
そんななかで、生き抜くにはどうしたらいいだろうかと真剣に悩みました。
しかし、私のような口べたな人間は、実は大きなメリットがあります。それは「人の話をよく聞ける」という才能です。
人の話を聞くのは結構苦痛なことです。自分の言いたいことを言う方が気分がいいにきまっています。
「俺が、俺が」と目立ちたがる人は、なかなか相手のことを観察しようという気にならないものです。
その点、無口な人、口べたな人は、相手を観察するときでも、比較的苦労なくできます。こういう人こそ『行動分析の手引』を読んでもらいたいのです。あなたがもしそういう人なら、急激に効果があがります。
内向的な人が『行動分析の手引』を読むと、相手のことがよく見えてきます。
相手の好みとか行動の癖が手に取るようにわかりますので、話題をそのことに振ればいいだけです。
そうしたら、あとは相手が勝手にしゃべってくれます。しかも相手は自分の話をよくぞ聞いてくれたと感謝します。
こんな楽なことはありませんね。
相手が自分の思い通りに動かず、すぐ腹を立てる人がいます。こういう人が上司ですと部下はたまりません。
しかし、人のことを怒って気分のいい人はあまりおりません。そういう人は『行動分析の手引』を読めば、眼から鱗が落ちるでしょう。
自分と同じように考えるとばかり思っていたが、実は全然違うんだとわかるようになるからです。
それがわかれば、その違いに応じて対処すればいいのだとわかります。
また、見解に違いがあっても腹が立たなくなります。「この人はこういう人なんだ」とわかるので、仕方ないとあきらめがつくからです。
割り切れれば、意見の違いにはあまり腹が立たなくなります。こういう割り切りは、精神衛生上とてもいいものです。
『行動分析の手引』は、人間の行動基準10種類と、その人の体型、行動の癖、性格などを細かく説明しています。
しかし、とてもそれだけでは人間行動を言い尽くせません。ほかにも、言い足りないことがいくらでもあります。
また、これは手引ですので、主として人間行動の特徴を書いています。会話における応用面についてはあまり書いておりません。
そこで、ご購入いただいた方には、メルマガを月1回配信して、会話での応用面を中心にお話したいと思っています。
さらに、メールでのご質問は常時受け付けますので、是非ご活用ください。
また、本書に関連したメールセミナーもございます。
『人間分析能力強化コース』です。
『行動分析の手引』で書ききれなかった点や、画像なども加えてさらにわかりやすく解説いたします。
先ほど説明したように、こういう方に『行動分析の手引』をお読みいただくと、たいへん効果があります。
ただし、資料を読むだけですとなかなかご自分の問題に落とし込むことが難しいかもしれません。
そこで、より具体的な対策が思い浮かぶように、メルマガを月一回配信してフォローいたします。
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